Archive for the ‘コラム’ Category
どんどん増加する公正証書遺言の作成件数
日本公証人連合会より、平成29年1月から12月までの1年間に全国で作成された公正証書遺言の件数は、11万0191件であると公表されています。
過去10年間の公正証書遺言作成件数の推移は、次の表で確認することができます。
暦年 | 遺言公正証書作成件数 |
平成20年 | 76,436件 |
平成21年 | 77,878件 |
平成22年 | 81,984件 |
平成23年 | 78,754件 |
平成24年 | 88,156件 |
平成25年 | 96,020件 |
平成26年 | 104,490件 |
平成27年 | 110,778件 |
平成28年 | 105,350件 |
平成29年 | 110,191件 |
(引用:日本公証人連合会ホームページ)
平成26年度から29年度まで、公正証書遺言の作成件数が10万件をずっと超えていることがわかります。また、平成29年度は、過去10年間で2番目に多い件数になっています。今後も、引き続き、公正証書遺言の作成件数は、どんどん増加していくと見込まれます。
遺言を残す方式には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3つがありますが、最も確実で安心・安全な遺言の方式とされる公正証書遺言が最も選ばれています。
なぜ、公正証書遺言は、最も支持されているのでしょうか?
公正証書遺言は、遺言の方式に不備があって無効になる危険性がないこと、遺言の文言の意義が不明で無効になる危険性がないこと、遺言の原本が公証役場に保管されるため、遺言の内容が第三者によって変造・偽造される危険がないこと等の理由で、また、公正証書遺言は、遺言者の亡くなった後、遺言を執行する際に、家庭裁判所の検認手続きが不要であるため、相続人の負担が軽減されることが支持される理由だと思料します。
また、それらの理由の他に、相続が発生した後の遺産トラブルを防止するために、家族から「遺言を残してほしい」と頼まれることも公正証書遺言を作成する大きな動機になっていると思料します。
在日ブラジル人との国際結婚に適用される法律について(日本編)
日本で在日ブラジル人と国際結婚をする場合に適用される法律について
Q: 「在日ブラジル人と日本人が日本で国際結婚をする場合、ブラジルの法律と日本の法律のどちらが適用されるのでしょうか?」
A: 結論としては、日本で在日ブラジル人の方と国際結婚をする場合には、日本人は日本法の民法の定める婚姻の要件を備える必要があり、在日ブラジル人については、ブラジル法の婚姻の要件を備える必要があります。そして、婚姻の方式については、日本の方式によることになるため、市区町村長(戸籍役場)に、日本の戸籍法に定められた婚姻の届出をすることになります。
1 日本法の婚姻の実質的な成立要件について
日本で在日ブラジル人と日本人が国際結婚をする場合、日本人については、日本法の婚姻の実質的成立要件が適用されます。
日本民法の婚姻の実質的成立要件は、婚姻の意思があること、婚姻適齢に達していること、重婚でないこと、再婚禁止期間(100日)でないこと、近親者間の婚姻でないこと等です。
詳細は、民法731条~737条に規定があります。
2 在日ブラジル人の婚姻の実質的な成立要件について
日本で在日ブラジル人と日本人が国際結婚をする場合、在日ブラジル人については、ブラジル法の婚姻の実質的成立要件が適用されます。
ブラジル法の婚姻の実質的成立要件は、婚姻適齢(男女とも16歳)に達していること、両当事者が婚姻禁止親等でないこと、重婚でないこと、成年(18歳)に達していない者はその父母の同意を要すること、女性の場合には再婚禁止期間(10ヶ月)でないこと、民事上の生活行為の為に必要な識別のできない知的障害者による婚姻でないこと等です。
※ 再婚禁止期間について
日本法とブラジル法の双方の本国法がともに再婚禁止期間を定めているときは、より長い期間を定めている法の再婚禁止期間を経過することが求められます。
注意点としては、ブラジル法による再婚禁止期間は、「女につき、再婚禁止期間が、寡婦となりあるいはその婚姻が無効若しくは取消しにより解消された後10ヶ月」とされていて、前婚の解消原因が離婚である場合には同条の再婚禁止期間が適用されない場合があることです。
3 日本人が国内で国際婚姻する場合、日本の方式に限られる
国際結婚の当事者の一方が日本人で日本国内で婚姻する場合には、相手がどの国籍であろうと、日本法による手続(方式)に限られます。その結果、市区町村長(戸籍役場)に、日本の戸籍法に定められた婚姻の届出をすることになります。
以上のとおり、日本人が日本国内で在日ブラジル人の方と国際結婚をする場合には、婚姻の実質的成立要件は、各当事者につき本国法によることになり、婚姻の方式については、日本の方式によることになります。
日本人と結婚した在日ブラジル人の方は、在留資格(ビザ)を「日本人の配偶者等」という在留資格(ビザ)に変更することができます。
フィリピン人との国際結婚に適用される法律について(日本編)
日本でフィリピン人と国際結婚をする場合に適用される法律について
Q: 「フィリピン人と日本人が日本で国際結婚をする場合、フィリピンの法律と日本の法律のどちらが適用されるのでしょうか?また、日本で成立した婚姻はフィリピンでも有効となるのでしょうか?」
A: 結論としては、日本でフィリピン人の方と国際結婚をする場合には、日本人は日本法の婚姻の実質的成立要件を備える必要があり、フィリピン人については、フィリピン法の婚姻の実質的成立要件を備える必要があります。
そして、婚姻の方式については、日本の方式によることになるため、市区町村長(戸籍役場)に、日本の戸籍法に定められた婚姻の届出をすることになります。また、日本で成立した婚姻はフィリピンでも有効な婚姻と認められます。
1 日本法の婚姻の実質的成立要件について
日本でフィリピン人と日本人が国際結婚をする場合、日本人については、日本法の婚姻の実質的成立要件が適用されます。日本民法の婚姻の実質的成立要件は、婚姻の意思があること、婚姻適齢に達していること、重婚でないこと、再婚禁止期間でないこと、近親者間の婚姻でないこと等です。詳細は、民法731条~737条に規定があります。
2 フィリピンの婚姻の実質的成立要件について
日本でフィリピン人と日本人が国際結婚をする場合、フィリピン人については、フィリピン法の婚姻の実質的成立要件が適用されます。フィリピン法の婚姻の実質的成立要件は、婚姻の意思が合致していること、異性同士であること、婚姻適齢(男女を問わず18歳)に達していること、満18歳以上満21歳未満の婚姻に対する父母の同意があること、満21歳以上満25歳未満の婚姻に対する父母の助言があること、重婚ではないこと、近親者間の婚姻でないこと、再婚禁止期間301日以内でないこと(刑法で定められている)等です。
3 日本人が国内で国際婚姻する場合、日本の方式に限られる
国際結婚の当事者の一方が日本人で日本国内で婚姻する場合には、相手がどの国籍であろうと、日本法による手続(方式)に限られます。その結果、市区町村長(戸籍役場)に、日本の戸籍法に定められた婚姻の届出をすることになります。
以上のとおり、日本人が日本国内でフィリピン人の方と国際結婚をする場合には、婚姻の実質的成立要件は、各当事者につき本国法によることになり、婚姻の方式については、日本の方式によることになります。
日本人と結婚したフィリピン人の方が日本で暮らしていくためには、「日本人の配偶者等」という在留資格(ビザ)を入国管理局へ申請し、許可を取得しなければなりません。
中国人との国際結婚に適用される法律について(日本編)
日本国内における中国人と日本人の国際結婚について
Q:日本国内で中国人と日本人が国際結婚をする場合、中国法と日本法のどちらが適用されるのでしょうか?また、日本で成立した婚姻は中国でも有効となるのでしょうか?
A:結論としては、日本国内で中国人の方と国際結婚をする場合には、両当事者ともに、婚姻の実質的成立要件・形式的成立要件について、日本の法律が適用されることになります。また、中華人民共和国政府は、日本で成立した婚姻は中国でも有効な婚姻と認めることとしています。
日本で中国人の方と国際結婚をする場合に適用される法律について
1 婚姻の実質的成立要件は日本法が適用される
日本で中国人と日本人が国際結婚をする場合、婚姻の実質的成立要件は日本法が適用されます。日本民法の婚姻の実質的成立要件は、婚姻の意思があること、婚姻適齢に達していること、重婚でないこと、再婚禁止期間でないこと、近親者間の婚姻でないこと等です。
詳しくは、民法731条~737条に規定があります。
中華人民共和国婚姻法によれば、日本に居る中国人が日本で婚姻する場合、その相手が中国人でない限り、婚姻締結地の法律、あるいは当事者共通の経常居所地の法律を適用すると定めています。その結果、日本で中国人と日本人が国際結婚をする場合、婚姻の実質的成立要件は日本民法が適用されることになるので、両当事者が日本民法の婚姻要件を満たせば、婚姻は有効に成立します。
※台湾系中国人の場合には、この限りではありません。
2 婚姻の形式的成立要件は日本法が適用される
国際結婚の当事者の一方が日本人で日本国内で婚姻する場合には、相手がどの国籍であろうと、日本法による手続(方式)に限られます。その結果、市区町村長(戸籍役場)に、日本の戸籍法に定められた婚姻の届出をすることになります。
以上のとおり、日本国内で中国人と日本人が国際結婚をする場合には、両当事者ともに、婚姻の実質的成立要件・形式的成立要件について、日本の法律が適用されることになります。
日本で成立した婚姻に対する中華人民共和国政府の見解について
中華人民共和国政府は、日本で成立した婚姻は中国でも有効な婚姻と認めることとしています。以前は、認められていませんでしたが、この見解を変え、現在では有効な婚姻と認めています。
日本で婚姻が成立した場合は、中国においても有効な婚姻と認められますから、中国であらためて婚姻登記又は承認手続きを行う必要はありませんが、中国人の戸籍簿(居民戸口簿)の婚姻状況欄を「既婚」に変更する手続きを行う必要があります。
その為には、日本で婚姻が成立したことを証明する書面(婚姻届書の記載事項証明書、婚姻届受理証明書等)を戸籍役場から取得し、日本の外務省及び在日本の中国大使館(又は領事館)の認証を得た後、中国において、中国人配偶者の戸籍所在地の派出所に翻訳文とともに提出することになります。
日本人と結婚した中国人の方が日本で暮らしていくためには、「日本人の配偶者等」という在留資格を入国管理局へ申請し、許可を取得しなければなりません。
外国人ビザの相談について
外国人ビザの相談について
行政書士ラティーフ法務事務所では、外国人ビザの取得を専門で取り扱っているので、ビザの相談を受ける機会がありますが、ご相談者からは、「ビザの相談先が分からなかった」という声をよく伺います。
実際に、外国人の方が日本に在留するためには、ビザ(在留資格)を取得する必要があり、そのために必要な情報は、基本的には「入国管理局」から得ることになります。
入国管理局では、ホームページ・申請窓口等でたくさんの情報を提供していますので、その情報を活用して各々の外国人の方がビザ申請手続を行うことになります。
外国人の方が入国管理局へ申請をすると、入国管理局で相談を受けたけど内容が難しくて困った、申請書の書き方が分からない、申請書の書き直しを指示された、申請の順番を2時間以上待った、追加資料を求められたがどのように対応すればいいのか分からない、不許可になってしまった等、様々なことが起こります。
入国管理局での手続は労力が大変かかるものです。しかし、外国人の方にとっては、ビザ(在留資格)は、日本で活動するために重要な手続ですから手を抜くことはできません。
「外国人ビザの相談は行政書士までお問い合わせください」
入国管理局の他に、ビザの相談先として行政書士が対応しています。その中でも、ビザ(在留資格)を専門に取り扱っている行政書士に相談をすることをオススメします。
専門性のある行政書士に相談すれば、外国人の方の状況に合わせて必要な助言を提供することができますし、行政書士がビザの申請をすれば、外国人の方は入国管理局へ出向く必要がなくなります。
入管法では、外国人側の責任で、ビザの許可条件に適合していることを立証しなければならないと規定されているため、手続は簡単ではありません。行政書士に依頼した場合には、外国人の方の希望するビザ(在留資格)を取得するために、立証資料を用意して立証責任を果たすところに行政書士の専門性が活かされます。
行政書士が積極的に立証資料を収集・作成すれば、ビザの許可率がグンと高くなります。
また、行政書士に依頼した方は、ビザの許可を受けた後も、何かビザについて困ったことがあるときには、行政書士に相談し、必要な助言を受けることができることは大きなメリットです。
行政書士ラティーフ法務事務所では、専門知識を活かして、外国人ビザに関する情報をご提供することができますので、ビザでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
日本に在留する外国人の配偶者ビザ(在留資格)の取消しについて
日本に在留する外国人の配偶者ビザ(在留資格)の取消しについて
・「永住者の配偶者」の在留資格(ビザ)をもつ外国人の方
<「正当な理由」があるかどうかについて、入国管理局のHPが挙げている事由>
<配偶者ビザ(在留資格)の取消しの手続における配慮の規定について>
【まとめ】
日本で就労する外国人の会社退職と在留資格(ビザ)取消の関係
日本で就労する外国人の会社退職と在留資格(ビザ)取消の関係について
【まとめ】
外国人を雇用する事業主は、偽変造された在留カードに注意!
外国人を雇用する事業主は、偽変造された在留カードに注意!
・在留カードを左右に傾けると、「MOJ」のホログラムが3D的に左右に動く。
・在留カードを上下に傾けると、カードの左端部分がピンク色に変化する。
・在留カードを傾けると、「MOJ」の文字の周囲の絵柄がピンクからグリーンに変化する。
外国人を雇用しようとする事業主の方にかかわらず、外国人の所持する在留カードの有効性を確認する必要のある方は、是非、法務省入国管理局の「在留カード等番号失効情報照会」と「在留カード等の券面に施された偽変造防止対策のポイント」を活用することをオススメします。
日本で就労する外国人の中途採用と就労資格証明書の活用
日本で就労する外国人の中途採用と就労資格証明書の活用
法務大臣は、本邦に在留する外国人から申請があつたときは、法務省令で定めるところにより、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を証明する文書を交付することができる。
外国人を雇用する事業主は、不法就労助長罪に注意!
外国人を雇用する事業主は、不法就労助長罪に注意!
☑就労できる許可を受けていないケース
☑就労できる許可を受けているが、その範囲を超えているケース
在留カードの表面に就労の可否と在留期間が記載されているので、まず、外国人が就労できる在留資格(ビザ)の許可を受けて いるのかを確認し、次に、日本に在留することができる期間(オーバーステイでないこと)を確認してください。
在留カードの表面に「就労の不可」と記載があっても、在留カードの裏面の「資格外活動許可」の欄に【「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」】や【「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」】の記載がある場合には、就労時間や就労場所に制限がありますが、就労することができます。
第73条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあっせんした者
一 当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。
二 当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり第19条第2項の許可を受けていないこと。
三 当該外国人が第70条第一項第一号から第三号の二まで、第五号、第七号から第七号の三まで又は第八号の二から第八号の四までに掲げる者であること。
2 法務大臣は、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者から、法務省令で定める手続により、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。この場合において、法務大臣は、当該許可に必要な条件を付することができる。