負担付の遺贈って!? 遺言書と負担付遺贈

2016-04-11

「負担付遺贈」について

負担付遺贈をご存知ですか?

遺言書を作成するにあたって、「負担付遺贈」の内容を希望される方がおられます。

負担付遺贈といっても、大変わかりにくいと思いますので、今回は、その負担付遺贈について記載したいと思います。

まず、最初に、遺贈とは、遺言によって財産を贈与することです。

それに対して、負担付遺贈とは、遺言によって財産を贈与するかわりに、その遺贈を受ける者に一定の義務を負担させるというものです。

それでは、負担付遺贈が利用される典型的なケースをお伝えします。

・遺された配偶者の扶養を負担させるかわりに、財産を遺贈する場合

・障害のある子の扶養を負担させるかわりに、財産を遺贈する場合

・債務(借金)を負担させるかわりに、財産を遺贈する場合

 

負担付遺贈はバランスが大切

負担付遺贈は、一定の義務を負担させるかわりに財産を遺贈するというものですが、その負担と遺贈する財産のバランスが大切になります。

なぜなら、遺贈を受けた者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができますから、財産を負担付で遺贈される者からすれば、遺贈された財産より、負担の方が大きいと判断すれば、負担付遺贈を放棄する可能性があるからです。

 

負担付遺贈が放棄されたとき

民法1002条2項
「受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。」

このように、負担付遺贈が放棄された場合、「遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。」とされていますから、遺言者は、あらかじめ放棄された事態を想定して、負担付遺贈は効力を失うと定めることもでき、また、他の者に相続させたり、遺贈したりすることもできます。つまり、遺言者は、負担付遺贈が放棄されたときのことを、自由に決めておくことができるということです。

 

負担付遺贈の負担が履行されないとき

民法1027条
「負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。」

このように、負担付遺贈を受けた者が、その負担した義務を履行しないときは、負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することになります。そして、負担付遺贈が取消された場合は、遺贈は初めから存在しなかったことになり、遺贈の目的物は相続人に帰属することになります。

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