成年年齢の引下げが離婚協議書等で定めた養育費に与える影響

2019-01-07

昨年、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が成立し、平成34年4月1日から施行されることになりました。

:離婚に伴い、子の養育費に関して、「子が成年に達するまで養育費を支払う」とする約束を離婚協議書や公正証書によって、すでに取決めている場合、どのような影響があるのでしょうか?

【成年年齢】
旧条文:20歳をもって、成年とする。
新条文:18歳をもって、成年とする。

【婚姻適齢】
旧条文:男は、18歳に、女は、16歳にならなければ婚姻をすることができない。
新条文:婚姻は、18歳にならなければ、することができない。

:上記の点に関して、離婚協議書や公正証書などで「養育費を子が成年に達するまで支払う」と取決めていたとしても、当事者間で養育費の支払期間の終期を取決めた時点では、成年年齢が20歳であったことからすると、その後、法改正によって成年年齢が18歳に引き下げられたとしても、大きな影響をうけることなく、20歳までの養育費の支払義務を負うことになると考えられます。

養育費は、子が未成熟で経済的に自立することができないから支払われるものになりますので、法律が改正され、成年年齢が引き下げられたからといって、養育費の支払期間の終期が当然に「18歳まで」となるわけではありません。

これまで、民法の成年年齢が20歳であっても、大学等の高等教育機関へ進学すること等を考慮し、「子が満22歳に達する日より後の最初の3月まで」とする養育費の取決めがあったように、成年年齢が18歳に引き下げられた後であっても、これまでと同様に、「子が満22歳に達する日より後の最初の3月まで」と離婚協議書や公正証書で約束することは問題ないと考えられます。

ただし、今後、離婚にあたって、新たに養育費に関する取決めをする場合には、「子が成年に達するまで養育費を支払う」とするのではなく、大学等の高等教育機関へ進学すること等を考慮する場合には、「子が22歳に達した後の3月まで」といった約束を取決め、明確に支払期間の終期を定めることが望ましいと考えられます。

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