慰謝料の約束を離婚協議書へ記載する場合の注意点

2015-12-08

慰謝料の約束を離婚協議書へ記載する場合の注意点

離婚する際に慰謝料を支払う約束をするケースがあります。

それは、離婚の原因となった有責行為があるからで、

不倫・浮気をした場合などが典型的な慰謝料を支払う理由となります。

慰謝料を支払う理由は不倫・浮気をした場合などに限らず、夫婦によって様々です。

「慰謝料を支払う」という約束をした場合には、後日のトラブルを防止するために、
離婚協議書へ記載することを希望される方が多いです。

 そこで、慰謝料の約束を離婚協議書へ記載する際の注意点を記載します。

 慰謝料の条項は、作成する当事者によって異なるため、具体的な条項の内容は
詳しくヒアリングをしなければ、明確になりません。

そのため、慰謝料に関する条項例を記載することはしませんが、
離婚協議書によって慰謝料の取決めを定める場合には、
おおむね、以下の内容に気をつけて条項を作成することをお勧めします。

 慰謝料が一括支払いの場合、離婚協議書への記載方法の注意点は!?

慰謝料の支払いを約束した場合、後日、約束どおりに慰謝料を支払ってもらうために、
離婚協議書を作成しますが、慰謝料が一括支払いの場合であれば、
条項はある程度シンプルなものになりますが、次の注意点に気をつける必要があります。

 ・慰謝料の支払い義務があることを認める文言があること

・具体的に金銭を支払う旨の給付条件が明確に定められていること

 なぜなら、このような内容を明確にしないと、
相手方にそもそも慰謝料の支払いを合意していないと主張されたりすることや、
約束したのは慰謝料名目の支払いではなく、財産分与等の名目だと主張されることがあるからです。

 慰謝料が分割支払いの場合には、期限の利益に気を付ける!

慰謝料の支払方法は出来る限り一括で受け取ることが理想ですが、
相手方に資力がない場合であれば分割払いもやむを得ません。

分割払いで慰謝料の約束をする場合には、分割の支払いが滞ったときのために、
「期限の利益喪失約款」を規定する必要がありますので、注意してください。

慰謝料の支払いの条項に期限の利益喪失約款の規定がなく、単に分割で支払う旨だけを
記載した内容である場合、もし、将来、慰謝料の分割払いが滞ったときに、
相手方へ請求できるのは支払い期日の到来した部分だけになります。

このような状況であれば、相手方の資力が悪化し始めているといえますから、慰謝料を
請求する立場としては、できるだけ早く全額の慰謝料を確保したいと考えるでしょう。

そこで、分割払いを怠った場合には、将来の部分も含めて一括して請求できるようにしておく
必要があり、これを期限の利益喪失約款といいます。

これにより、慰謝料の全額の支払いを早期にキッチリ確保できるようになります。

将来まで支払いを猶予するという相手方にとっての期限の利益を失わせるということです。

 期限の利益喪失約款を規定する場合には次の注意点に気をつける必要があります。

・期限の利益を失う要件を明確にすること

・慰謝料を請求する者から一括請求をしなくても期限の利益を失うということを
   明確にするため、「当然に期限の利益を失う」という文言を使用すること

 慰謝料の約束を離婚協議書へ記載する場合の注意点まとめ

・慰謝料の支払い義務があることを認める文言があること

・具体的に金銭を支払う旨の給付条件が明確に定められていること

・慰謝料が分割払いであれば、期限の利益喪失約款を規定すること

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