外国人を受け入れる所属機関による法務大臣に対する届出の努力義務

2016-02-23

外国人を受け入れる所属機関による法務大臣に対する届出の努力義務

 日本に中長期在留する外国人を受け入れる所属機関は、法務大臣に対して、外国人の受け入れの開始と終了を届け出るよう努めなければならないとされています。

具体的には、入管法の19条の17に規定されていて、日本で在留資格(ビザ)をもって活動する外国人を受け入れる所属機関の方に対する努力義務となっています。

 なお、本条の規定による届出は、努力義務ですから、届出を行わない場合に関する罰則等は定められていません。

 届出が必要とされる理由は、外国人の在留状況を正確に把握するためです。

そのため、入管法の19条の16により、日本に中長期在留する外国人は、在留資格(ビザ)について、在留期間の途中で身分関係や所属機関等について変更があった場合に届出義務があり、入管法の19条の17により、外国人を受け入れる所属機関には、外国人の受け入れの開始と終了を届け出る努力義務がそれぞれあります。

それでは、以下、入管法の19条の17の届出義務をまとめて記載します。

「教授」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「興行」「技能」の在留資格(ビザ)をもって在留する外国人を受け入れている機関の届出義務の内容

< 受け入れの開始>
・中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留カードの番号
・中長期在留者の受け入れを開始した年月日
・中長期在留者が行う活動の内容

 <受け入れの終了>
・中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留カードの番号
・中長期在留者の受け入れを終了した年月日

 ※なお、受け入れの開始、受け入れの終了があった場合、その状況に至った日から14日以内に届け出る必要があります。


「留学」の在留資格(ビザ)をもって在留する外国人を受け入れている機関の届出義務の内容

 <受け入れの開始>
・中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留カードの番号
・中長期在留者の受け入れを開始した年月日

 5月1日、11月1日における受け入れの開始の場合
・中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留カードの番号

< 受け入れの終了>
・中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留カードの番号
・中長期在留者の受け入れを終了した年月日
・卒業、退学、除籍その他中長期在留者の受け入れの終了に関わる事由

 ※なお、受け入れの開始、受け入れの終了があった場合、その状況に至った日から14日以内に届け出る必要があります。

 

 入管法第19条の17による届出をする必要がない場合
雇用対策法は、第28条第1項において、「事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その者の氏名、在留資格、在留期間、その他厚生労働省令で定める事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。」と定めています。

 そして、第29条において、「厚生労働大臣は、法務大臣から、出入国管理及び難民認定法に定める事務の処理に関し、外国人の在留に関する事項の確認のための求めがあつたときは、前条第一項の規定による届出及び同条第三項の規定による通知に係る情報を提供するものとする。」と定められています。

 そのため、 雇用対策法第28条第1項の規定による届出をしなければならない事業主については、入管法第19条の17による届出をする必要がないという結論になります。

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