相続人関係説明図の作成
相続人関係説明図とは、被相続人(亡くなった方)と相続人との関係を図表にしたものです。相続人関係説明図を作成するメリットは、相続人全員で行う遺産分割の協議の場面で使用すると、相続人の権利関係が分かりやすく有益であること、相続した不動産の名義変更の申請の際に、相続関係説明図を法務局に提出すると戸籍の原本が返却されますので、戸籍の原本をその他の相続手続(銀行の解約)等で必要になることがある点を考えると戸籍の原本を手元に残しておく実益があること等です。そのため、相続人関係説明図は相続手続の大半のケースにおいて作成されています。
行政書士ラティーフ法務事務所では、「総務省所管 街の法律家」として、ご依頼者様の相続手続に必要となる相続人関係説明図の作成サービスを取り扱っています。初回の相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
料金表
相続人関係説明図の作成に必要になる書類について
1.被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
2.被相続人の最後の住所を証明する住民票(除票)または戸籍の附票
3.相続人の戸籍謄本
4.相続人の住民票
5.その他
相続人関係説明図の作成をご自身で行うと大変な理由
収集した戸籍謄本等を基に相続人を確定し、相続人関係説明図を作成することになりますが、戸籍には、たくさんの種類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍等)があること、また、現代の戸籍と明治31年~昭和22年までの旧戸籍法では戸籍の編成単位が異なること等の理由から、戸籍を集めた後の相続人を確定する作業には戸籍を読み解く力が必要になります。慣れていないと大変な手間と時間がかかることになります。
相続人を確定作業において、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を確認することになりますが、特に養子縁組や代襲相続に関しては、相続人を見誤りやすいので、不安のある方は、一度、専門家に相談することをおすすめします。
1.同時死亡の推定
数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。(民法32条の2)民法の規定のとおり、相続開始時に相続人は生存していなければならないため(同時存在の原則)、同時に死亡した者同士には相続権が認められないことになります。
※同時に死亡した場合は数次相続とはなりません。
2.胎児の権利能力
胎児は、相続については、既に生まれたものとみなされ、相続権が保証されます。ただし、胎児が死産の場合には、初めから相続人にならなかったものとなります。(民法886条)
3.養子の相続権
養子の相続関係には注意が必要です。養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する(民法809条)ので、養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係が生じる(民法727条)ことになります。そのため、養子は養親に対しても実親に対しても、子として第一順位の相続権を持つことになります。なお、特別養子では、普通養子と異なり、実親及びその血族との親族関係は消滅するので、子として第一順位の相続権を持つのは養親に対してだけになります。
4.普通養子の離縁
離縁によって、養子と養親および養親の血族との親族関係は終了します(民法729条)。なお、縁組の当事者である養親あるいは養子の一方が死亡した後に生存当事者が家庭裁判所の許可を得て離縁をすることができます(民法811条)が、死後離縁の効果は届出以降に効力が生じるため、例えば、養親の死亡後、養子がその死亡した養親と死後離縁を行っても相続権に影響はありません。
5.代襲相続
代襲相続とは、被相続人が死亡する前に、すでに一定の相続人が死亡・廃除・欠格によって相続権を失っている場合に、その相続人の有していた相続分と同じ割合の相続分を、代襲相続人に取得させる制度です。代襲相続で注意が必要なのは、代襲相続の起こる原因に相続放棄は含まれないこと、代襲相続人となるのは、被相続人の孫(子の子)、または、被相続人の兄弟姉妹の子(おい、めい)であることです。
6.再代襲相続
被相続人の子に代襲相続の原因が発生すれば、被相続人の孫(子の子)が代襲相続人になりますが、その孫に代襲相続の原因が発生すれば、ひ孫(孫の子)が代襲相続人になります。
なお、兄弟姉妹には再代襲は認められていませんので、注意が必要です。
7.養子縁組と代襲相続
養子縁組の前に出生した養子の子については、養親の直系卑属とならないため、養親の相続について代襲相続権はありません。養子縁組の効果が生じるのは、養子縁組を届け出た日からになるからです。ただし、養子縁組の前に生まれた養子の子であっても、その親の一方が養親の実子であるときは、養親と養子との間に祖父母孫の関係があるため、養子を被代襲者として代襲相続権を有することになります。
8.相続欠格
相続欠格とは、相続において特定の相続人に民法891条に規定されている欠格事由が認められる場合に、その者の相続権を失わせる制度です。相続欠格は特定の相続人に相続欠格事由が認められる場合に、特段の手続きを必要とせず、当然に相続権を失います。
また、相続欠格の効果は欠格者の子には及ばず、子が代襲相続することができます。
なお、被相続人が相続欠格者に遺贈をしても欠格者は受遺者になれません。
9.相続人の廃除
民法892条には、被相続人が推定相続人の相続権を剥奪することができる廃除という制度があり、廃除原因として虐待、重大な侮辱、その他著しい非行を規定しています。推定相続人の廃除は、被相続人が家庭裁判所に請求することで行い(遺言によって行うこともできる)、廃除された推定相続人は、相続権を失うことになり、相続人となることができなくなります。相続人廃除の効果は、被廃除者の子には及ばず、子が代襲相続することができます。
なお、廃除されたとしても受遺者としての地位には影響ありません。
10.相続放棄
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。相続放棄は、各相続人が単独で行うことができ、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述する手続による必要があります(民法915、938条)。また、相続放棄が家庭裁判所によって認められた相続人がいる場合、後順位の相続人が先順位の相続人の相続放棄によって、相続人となることがあるのかどうかにも注意が必要です。なお、相続放棄をした相続人の直系卑属には代襲相続権は発生しない点にも注意が必要です。
11.数次相続
数次相続とは、最初に亡くなった被相続人の遺産が未分割の状態である場合に、次にその中の相続人の方が亡くなってしまい、新たに相続が発生することをいいます。一次相続の遺産分割が終わっていない段階で、新たに二次相続が発生するということです。数次相続の場合には、一次相続の被相続人の遺産をその相続人でもなく、代襲相続人でもない人が相続する場合があります。数次相続であるにもかかわらず、代襲相続と判断して相続人を漏らしてしまうことがあるので代襲相続との違い(死亡の順番)には注意が必要です。