遺言書でできないこと

遺言書の対象外とされている事項はどんなものがあるの!?

その1 死亡退職金・遺族年金は、遺言者の財産ではありません

死亡退職金・遺族年金については、遺言者の遺族が固有の権利として受け取るものです。

そのため、死亡退職金・遺族年金については遺言者の財産ではありませんから、遺言書によって、死亡退職金・遺族年金の受取人を指定したとしても無効です。
 

その2 香典・弔慰金は、遺言者の財産ではありません

香典は、喪主・葬式費用負担者が受け取るものですから、遺言者の財産とはなりません。

また、弔慰金についても、通常、遺言者の財産とはなりません。

そのため、香典・弔慰金は遺言者の財産ではありませんから、遺言書によって、香典・弔慰金の受取人を指定したとしても無効です。
 

その3 公営住宅の使用権は相続されません

公営住宅の使用権は、各自治体が入居者の入居資格を審査したうえで、入居が認められるものです。

そのため、遺言者が公営住宅の使用権を有している場合であっても、遺言書によって、相続人に公営住宅の使用権を与える等の記載をしても無効です。
公営住宅の使用権は、当然に相続できる権利ではないとされているからです。

ただし、相続人が各自治体の定める入居資格を満たせば、引き続き入居資格が認められる場合があります。
 

その4 養子縁組・離縁は生前にしておく、遺言書ではできません

遺言書による意思表示によって、遺言者が養子縁組をすることはできません。
また、養子と離縁する旨の遺言書も無効となります。

そのため、養子縁組・離縁といった事柄は、生前に手続きをしなければなりません。
 

その5 負債は遺言の内容とならない!? 債務の負担はどうなるのか

遺言者の財産には、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産もあります。
マイナスの財産とは、借金・住宅ローンといった債務のことです。

こうした債務を負う遺言者は遺言書で債務の負担者を定めることができるのでしょうか?
結論をお答えすると、負債を特定の相続人に承継させる内容の遺言書の作成そのものは可能です。

ただし、その遺言書の内容を債権者に対する関係では主張することができません。
なぜなら、債務は相続財産には含まれず、遺産分割の対象にもならないとされていて、債務は遺言者の死亡と同時に相続人に承継されることになるからです。

そのため、遺言書の債務に関する記載が無効になるわけではありません。
あくまで、債権者に対抗することができないということです。

 

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