離婚協議書の重要項目:慰謝料

離婚の慰謝料は、相手の有責不法な行為によって、離婚に至った場合に、その精神的苦痛をつぐなうことを目的として支払われるものです。
 

慰謝料はどちらが支払う!?

離婚に伴う慰謝料とは、離婚によって被る精神的苦痛を慰謝する金銭賠償ですから、慰謝料請求が認められるためには、相手方に不倫・浮気といった不貞行為、DVといった暴力行為等の有責行為がなければなりません。

離婚の慰謝料は、離婚するについて有責行為がどちらにあるのかが問題となるので、有責行為によって離婚原因をつくった側が慰謝料を支払う責任を負うことになります。

そのため、離婚すれば必ず慰謝料の請求ができるというわけではありません。
慰謝料を請求するためには、相手方に有責行為がなければならないのです。

それでは、具体的に慰謝料を請求できるケースと慰謝料を請求できないケースを確認しましょう。
 

慰謝料を請求できるケースと慰謝料を請求できないケース

慰謝料を請求できるケース

  • 不倫・浮気をした場合(不倫・浮気をしたことを不貞行為と呼びます)
  • DV(身体的暴力)
  • モラハラ(精神的暴力・嫌がらせといったモラルハラスメント)
  • 悪意で遺棄されたとき(民法770条1項2号)

 

慰謝料を請求できないケース

  • 性格の不一致
  • 事実上、夫婦関係が破綻した後の不倫・浮気といった不貞行為
  • 有責行為が夫婦双方にある場合

このような、離婚に伴う慰謝料の請求には時効があります。
通常、離婚のときから3年で、離婚に伴う慰謝料請求権は時効によって消滅します。
 

離婚慰謝料が高くなる傾向について

離婚慰謝料の算定にあたっては、様々な事情が考慮されますが、以下のような事情があると慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。

・離婚の原因を招いた配偶者の有責性が高いほど慰謝料は高くなる傾向がある

・夫婦の婚姻期間が長いほど慰謝料は高くなる傾向がある

・有責配偶者に資力(社会的地位)があるほど慰謝料は高くなる傾向がある

・未成年の子がいる場合に慰謝料は高くなる傾向がある

 

不倫・浮気の慰謝料の請求について

不倫・浮気といった不貞行為に対しては慰謝料を請求することができます。
その慰謝料を請求できる対象は、不貞行為をした配偶者とその相手方です。

ここで、判例の不貞行為に対する考え方をご紹介します。

判例は、不倫・浮気といった不貞行為に対して、夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、他方の配偶者の夫または妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、たとえ自然の愛情によった場合であったとしても、他方配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務があると判示しています。

このように、不倫・浮気といった不貞行為は、不貞行為をした配偶者とその相手方による共同不法行為となりますから、不貞をされた他方配偶者は、その両者に対して慰謝料を請求することができます。

仮に、配偶者から慰謝料の支払いを受けたとしても、それが、精神的苦痛の全部を慰謝するに足りない場合は、さらに不貞行為の相手方に対しても慰謝料を請求することができます。

離婚の慰謝料が発生する場合は、その慰謝料が発生した原因・慰謝料の金額・慰謝料の支払期日・慰謝料の支払方法といった内容を協議する必要がありますから、後日のトラブルを防止するためにも、その内容を離婚協議書・離婚給付契約公正証書に記載することをお勧めします。

 

離婚そのものの慰謝料と離婚の原因に基づく慰謝料って!?

離婚の慰謝料には、「離婚そのものの慰謝料」と「離婚の原因に基づく慰謝料」の双方が含まれます。離婚そのものの慰謝料とは、文字どおり、離婚をすることによって生じる精神的苦痛に対するもので、離婚の原因に基づく慰謝料とは、離婚の原因となる不貞行為等によって生じた精神的苦痛に対するものです。しかし、実務上や裁判例の多くは、離婚慰謝料を上記のように、明確に区別せずに、一体として扱っているケースが多くあります。

 

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