帰化申請の相談事例(滋賀県彦根市 中国籍)

2018-06-22

【滋賀県彦根市に住む中国籍の相談者】

Q:私は、滋賀県彦根市に住んでいる中国籍のRです。来日して、約4年になります。来日当初は、技術・人文知識・国際業務ビザを取得して彦根市の会社で働いていましたが、約2年前に日本人の夫と国際結婚しました。現在は、日本人の配偶者ビザを取得しています。私は、日本で暮らす中で、日本の国籍を取得することを希望するようになりました。帰化申請の条件を教えてください。

A: 滋賀県彦根市に住んでいる中国籍のRさんは、日本人の配偶者たる外国人です。そのため、国籍法5条の普通帰化の条件である「引き続き5年以上日本に住所を有すること」及び「20歳以上で本国法によって行為能力を有すること」の条件を備えないときでも帰化が許可されます。滋賀県彦根市に住んでいる中国籍のRさんには、国籍法7条の簡易帰化が適用されます。それでは、順番に帰化の条件を確認しましょう。

1.「日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの」

滋賀県彦根市に住んでいる中国籍のRさんに詳しく事情をお伺いしたところ、日本に在留している期間は約4年3ヶ月です。そのうち、約2年2ヶ月間は、技術・人文知識・国際業務ビザによって在留していた期間、残りの約2年1ヶ月は、日本人の配偶者ビザによって在留していることがわかりました。中国籍のRさんの日本在留期間は約4年3ヶ月ありますが、そのうち、日本出国歴がどの程度あるのかについて、パスポートで確認したところ、4~7日間程度の短期間の出国歴が3回であることがわかりました。そのため、長期の日本出国歴はありません。

中国籍Rさんのケースにおいては、国籍法7条の規定する「日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの」が適用されます。この規定は、外国人の方が、日本に3年以上居住している場合、日本人と結婚した時点で要件を満たすことができます。そうすると、中国籍Rさんは、4年3ヶ月以上日本に在留しており、かつ、現に日本に住所を有しています。そして、日本国民の配偶者たる外国人です。また、年間合計100日以上の日本出国歴もありません。

以上のことから、中国籍Rさんは、「日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの」であることが認められます。

※普通帰化の条件である「引き続き5年以上日本に住所を有すること」は適用されません。

2.「20歳以上で本国法によって行為能力を有すること」

中国籍Rさんは、日本国民の配偶者たる外国人であるため、「20歳以上で本国法によって行為能力を有すること」の条件を備えないときでも帰化が許可されます。

以上のことから、中国籍Rさんは、「20歳以上で本国法によって行為能力を有すること」は特に問題となることはありません。

3.「素行が善良であること」

日本国籍を取得するためには、「素行が善良であること」が求められます。主に、前科等の犯罪歴(不法滞在を含む)があるのかどうか、交通違反歴があるのかどうか、税金を適切に支払っているのかどうか等が問題になります。

まず、前科等の犯罪歴について、中国籍Rさんに事情をお伺いしたところ、過去に犯罪歴はなく、不法残留歴もありませんでした。また、交通違反歴についても違反が1件もないことがわかりました。中国籍Rさんは、運転免許証を取得していますので、帰化申請には、過去5年の交通違反記録が記載された「運転記録証明書」を提出する必要がありますが、無事故無違反であるため、特に問題になることはないでしょう。

次に、所得税、住民税等の税金の未納について事情をお伺いしたところ、中国籍Rさんは、技術・人文知識・国際業務ビザにより就労していた時、所得税、住民税等の税金の納税に問題はなく、年金に関しても、会社員として勤務している会社で厚生年金に加入し、給与から厚生年金保険料が天引きされていたことが確認できました。その後、日本人配偶者と結婚を機に勤務先を退職し、現在は、専業主婦となり、日本人配偶者の扶養に入っていることがわかりました。帰化申請には、日本人の配偶者(夫)の納税証明書も必要になるので、日本人の配偶者(夫)に納税に関する事項をお伺いしたところ、所得税、住民税等の税金の納税に未納はなく、年金に関しても会社員として勤務している会社で厚生年金に加入し、給与から厚生年金保険料が天引きされていることが確認できました。

以上のことから、中国籍Rさんは、「素行が善良であること」が認められます。

4.「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」

日本国籍を取得するために必要となる生計要件は、世帯単位で安定的に収入を確保でき、生計をたてることができなければなりません。中国籍Rさんは専業主婦ですので収入はありませんが、日本人の配偶者(夫)は、会社員(正社員)として、月額約31万円の給与があり、世帯の貯金額は約140万円あります。

帰化申請には、「生計の概要(その1)」、「生計の概要(その2)」という書類を作成し、世帯の月々の収入・支出、主な負債、所有する不動産、預貯金、株券・社債、高価な動産等を記載する必要があります。

中国籍Rさん世帯に、自動車ローンの負債があることを心配されていましたが、滞りなく、ローンを返済していること、世帯収入に対する月々のローン返済額を比較しても、特に帰化申請の生計要件において、特に問題にはならないでしょう。

以上のことから、中国籍Rさんは、日本人配偶者(夫)の雇用形態が最も安定性している正社員であること、月額約31万円の給与があること、預貯金が約140万円あること、自動車ローンの負債を滞りなく返済していること等から「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」が認められます。

5.「国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと」

中国国籍法は、第9条において、「外国に定住している中国公民で、自己の意思によって外国の国籍に入籍し又は取得した者は自動的に中国国籍を失う。」と規定しています。

以上のことから、中国籍Rさんは、「日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと」について、問題となることはありません。

6.「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと」

思想要件について、中国籍Rさんに確認をしましたが、特に問題になることはありません。

7.日本語の能力

中国籍Rさんは、日本語能力検定「N1」を取得されています。そのため、日本語での会話が非常にスムーズに行うことができます。また、日本語文書の読み書きについて質問したところ、日本人の配偶者と結婚する前の約2年2ヶ月間は、技術・人文知識・国際業務ビザを取得し会社員として就労していた時に、日本語の文書を読むこと、作成することにほとんど支障がなかったそうです。通常、日本国籍を取得するためには、日本語能力試験「N3」程度を取得していれば問題ないことが多いです。実際に、中国籍Rさんの日本語能力を確認させていただきましたが、日本国籍を取得するために求められる日本語能力は十分にあることが確認できました。

以上のことから、中国籍Rさんは、帰化申請に求められる日本語能力があることが認められます。

【結論】

滋賀県彦根市に在住の中国籍Rさんは、日本国籍を取得するために必要となる日本語能力、国籍法に規定された条件に特に問題となるところがないため、帰化が許可される可能性が十分にあります。

 

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