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どんどん増加する公正証書遺言の作成件数

2018-06-01

日本公証人連合会より、平成29年1月から12月までの1年間に全国で作成された公正証書遺言の件数は、11万0191件であると公表されています。

過去10年間の公正証書遺言作成件数の推移は、次の表で確認することができます。

暦年 遺言公正証書作成件数
平成20年 76,436件
平成21年 77,878件
平成22年 81,984件
平成23年 78,754件
平成24年 88,156件
平成25年 96,020件
平成26年 104,490件
平成27年 110,778件
平成28年 105,350件
平成29年 110,191件

(引用:日本公証人連合会ホームページ)

平成26年度から29年度まで、公正証書遺言の作成件数が10万件をずっと超えていることがわかります。また、平成29年度は、過去10年間で2番目に多い件数になっています。今後も、引き続き、公正証書遺言の作成件数は、どんどん増加していくと見込まれます。

遺言を残す方式には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3つがありますが、最も確実で安心・安全な遺言の方式とされる公正証書遺言が最も選ばれています。

なぜ、公正証書遺言は、最も支持されているのでしょうか?

公正証書遺言は、遺言の方式に不備があって無効になる危険性がないこと、遺言の文言の意義が不明で無効になる危険性がないこと、遺言の原本が公証役場に保管されるため、遺言の内容が第三者によって変造・偽造される危険がないこと等の理由で、また、公正証書遺言は、遺言者の亡くなった後、遺言を執行する際に、家庭裁判所の検認手続きが不要であるため、相続人の負担が軽減されることが支持される理由だと思料します。

また、それらの理由の他に、相続が発生した後の遺産トラブルを防止するために、家族から「遺言を残してほしい」と頼まれることも公正証書遺言を作成する大きな動機になっていると思料します。

 

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在日ブラジル人との国際結婚に適用される法律について(日本編)

2017-10-23

日本で在日ブラジル人と国際結婚をする場合に適用される法律について

Q: 「在日ブラジル人と日本人が日本で国際結婚をする場合、ブラジルの法律と日本の法律のどちらが適用されるのでしょうか?」

A: 結論としては、日本で在日ブラジル人の方と国際結婚をする場合には、日本人は日本法の民法の定める婚姻の要件を備える必要があり、在日ブラジル人については、ブラジル法の婚姻の要件を備える必要があります。そして、婚姻の方式については、日本の方式によることになるため、市区町村長(戸籍役場)に、日本の戸籍法に定められた婚姻の届出をすることになります。

 日本法の婚姻の実質的な成立要件について
日本で在日ブラジル人と日本人が国際結婚をする場合、日本人については、日本法の婚姻の実質的成立要件が適用されます。

日本民法の婚姻の実質的成立要件は、婚姻の意思があること、婚姻適齢に達していること、重婚でないこと、再婚禁止期間(100日)でないこと、近親者間の婚姻でないこと等です。
詳細は、民法731条~737条に規定があります。

 在日ブラジル人の婚姻の実質的な成立要件について
日本で在日ブラジル人と日本人が国際結婚をする場合、在日ブラジル人については、ブラジル法の婚姻の実質的成立要件が適用されます。

ブラジル法の婚姻の実質的成立要件は、婚姻適齢(男女とも16歳)に達していること、両当事者が婚姻禁止親等でないこと、重婚でないこと、成年(18歳)に達していない者はその父母の同意を要すること、女性の場合には再婚禁止期間(10ヶ月)でないこと、民事上の生活行為の為に必要な識別のできない知的障害者による婚姻でないこと等です。

再婚禁止期間について
日本法とブラジル法の双方の本国法がともに再婚禁止期間を定めているときは、より長い期間を定めている法の再婚禁止期間を経過することが求められます。

注意点としては、ブラジル法による再婚禁止期間は、「女につき、再婚禁止期間が、寡婦となりあるいはその婚姻が無効若しくは取消しにより解消された後10ヶ月」とされていて、前婚の解消原因が離婚である場合には同条の再婚禁止期間が適用されない場合があることです。

 日本人が国内で国際婚姻する場合、日本の方式に限られる
国際結婚の当事者の一方が日本人で日本国内で婚姻する場合には、相手がどの国籍であろうと、日本法による手続(方式)に限られます。その結果、市区町村長(戸籍役場)に、日本の戸籍法に定められた婚姻の届出をすることになります。

以上のとおり、日本人が日本国内で在日ブラジル人の方と国際結婚をする場合には、婚姻の実質的成立要件は、各当事者につき本国法によることになり、婚姻の方式については、日本の方式によることになります。

日本人と結婚した在日ブラジル人の方は、在留資格(ビザ)を「日本人の配偶者等」という在留資格(ビザ)に変更することができます。

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フィリピン人との国際結婚に適用される法律について(日本編)

2017-10-20

日本でフィリピン人と国際結婚をする場合に適用される法律について

Q: 「フィリピン人と日本人が日本で国際結婚をする場合、フィリピンの法律と日本の法律のどちらが適用されるのでしょうか?また、日本で成立した婚姻はフィリピンでも有効となるのでしょうか?」

A: 結論としては、日本でフィリピン人の方と国際結婚をする場合には、日本人は日本法の婚姻の実質的成立要件を備える必要があり、フィリピン人については、フィリピン法の婚姻の実質的成立要件を備える必要があります。

そして、婚姻の方式については、日本の方式によることになるため、市区町村長(戸籍役場)に、日本の戸籍法に定められた婚姻の届出をすることになります。また、日本で成立した婚姻はフィリピンでも有効な婚姻と認められます。

 日本法の婚姻の実質的成立要件について
日本でフィリピン人と日本人が国際結婚をする場合、日本人については、日本法の婚姻の実質的成立要件が適用されます。日本民法の婚姻の実質的成立要件は、婚姻の意思があること、婚姻適齢に達していること、重婚でないこと、再婚禁止期間でないこと、近親者間の婚姻でないこと等です。詳細は、民法731条~737条に規定があります。

 フィリピンの婚姻の実質的成立要件について
日本でフィリピン人と日本人が国際結婚をする場合、フィリピン人については、フィリピン法の婚姻の実質的成立要件が適用されます。フィリピン法の婚姻の実質的成立要件は、婚姻の意思が合致していること、異性同士であること、婚姻適齢(男女を問わず18歳)に達していること、満18歳以上満21歳未満の婚姻に対する父母の同意があること、満21歳以上満25歳未満の婚姻に対する父母の助言があること、重婚ではないこと、近親者間の婚姻でないこと、再婚禁止期間301日以内でないこと(刑法で定められている)等です。

 日本人が国内で国際婚姻する場合、日本の方式に限られる
国際結婚の当事者の一方が日本人で日本国内で婚姻する場合には、相手がどの国籍であろうと、日本法による手続(方式)に限られます。その結果、市区町村長(戸籍役場)に、日本の戸籍法に定められた婚姻の届出をすることになります。

以上のとおり、日本人が日本国内でフィリピン人の方と国際結婚をする場合には、婚姻の実質的成立要件は、各当事者につき本国法によることになり、婚姻の方式については、日本の方式によることになります。

日本人と結婚したフィリピン人の方が日本で暮らしていくためには、「日本人の配偶者等」という在留資格(ビザ)を入国管理局へ申請し、許可を取得しなければなりません。

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中国人との国際結婚に適用される法律について(日本編)

2017-10-12

日本国内における中国人と日本人の国際結婚について

Q:日本国内で中国人と日本人が国際結婚をする場合、中国法と日本法のどちらが適用されるのでしょうか?また、日本で成立した婚姻は中国でも有効となるのでしょうか?

A:結論としては、日本国内で中国人の方と国際結婚をする場合には、両当事者ともに、婚姻の実質的成立要件・形式的成立要件について、日本の法律が適用されることになります。また、中華人民共和国政府は、日本で成立した婚姻は中国でも有効な婚姻と認めることとしています。

 

日本で中国人の方と国際結婚をする場合に適用される法律について

 婚姻の実質的成立要件は日本法が適用される
日本で中国人と日本人が国際結婚をする場合、婚姻の実質的成立要件は日本法が適用されます。日本民法の婚姻の実質的成立要件は、婚姻の意思があること、婚姻適齢に達していること、重婚でないこと、再婚禁止期間でないこと、近親者間の婚姻でないこと等です。
詳しくは、民法731条~737条に規定があります。

中華人民共和国婚姻法によれば、日本に居る中国人が日本で婚姻する場合、その相手が中国人でない限り、婚姻締結地の法律、あるいは当事者共通の経常居所地の法律を適用すると定めています。その結果、日本で中国人と日本人が国際結婚をする場合、婚姻の実質的成立要件は日本民法が適用されることになるので、両当事者が日本民法の婚姻要件を満たせば、婚姻は有効に成立します。

※台湾系中国人の場合には、この限りではありません。

 婚姻の形式的成立要件は日本法が適用される
国際結婚の当事者の一方が日本人で日本国内で婚姻する場合には、相手がどの国籍であろうと、日本法による手続(方式)に限られます。その結果、市区町村長(戸籍役場)に、日本の戸籍法に定められた婚姻の届出をすることになります。

以上のとおり、日本国内で中国人と日本人が国際結婚をする場合には、両当事者ともに、婚姻の実質的成立要件・形式的成立要件について、日本の法律が適用されることになります。

 

日本で成立した婚姻に対する中華人民共和国政府の見解について

中華人民共和国政府は、日本で成立した婚姻は中国でも有効な婚姻と認めることとしています。以前は、認められていませんでしたが、この見解を変え、現在では有効な婚姻と認めています。

日本で婚姻が成立した場合は、中国においても有効な婚姻と認められますから、中国であらためて婚姻登記又は承認手続きを行う必要はありませんが、中国人の戸籍簿(居民戸口簿)の婚姻状況欄を「既婚」に変更する手続きを行う必要があります。

その為には、日本で婚姻が成立したことを証明する書面(婚姻届書の記載事項証明書、婚姻届受理証明書等)を戸籍役場から取得し、日本の外務省及び在日本の中国大使館(又は領事館)の認証を得た後、中国において、中国人配偶者の戸籍所在地の派出所に翻訳文とともに提出することになります。

日本人と結婚した中国人の方が日本で暮らしていくためには、「日本人の配偶者等」という在留資格を入国管理局へ申請し、許可を取得しなければなりません。

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外国人ビザの相談について

2017-10-02

外国人ビザの相談について

行政書士ラティーフ法務事務所では、外国人ビザの取得を専門で取り扱っているので、ビザの相談を受ける機会がありますが、ご相談者からは、「ビザの相談先が分からなかった」という声をよく伺います。

実際に、外国人の方が日本に在留するためには、ビザ(在留資格)を取得する必要があり、そのために必要な情報は、基本的には「入国管理局」から得ることになります。

入国管理局では、ホームページ・申請窓口等でたくさんの情報を提供していますので、その情報を活用して各々の外国人の方がビザ申請手続を行うことになります。

外国人の方が入国管理局へ申請をすると、入国管理局で相談を受けたけど内容が難しくて困った、申請書の書き方が分からない、申請書の書き直しを指示された、申請の順番を2時間以上待った、追加資料を求められたがどのように対応すればいいのか分からない、不許可になってしまった等、様々なことが起こります。

入国管理局での手続は労力が大変かかるものです。しかし、外国人の方にとっては、ビザ(在留資格)は、日本で活動するために重要な手続ですから手を抜くことはできません。

「外国人ビザの相談は行政書士までお問い合わせください」

入国管理局の他に、ビザの相談先として行政書士が対応しています。その中でも、ビザ(在留資格)を専門に取り扱っている行政書士に相談をすることをオススメします。

専門性のある行政書士に相談すれば、外国人の方の状況に合わせて必要な助言を提供することができますし、行政書士がビザの申請をすれば、外国人の方は入国管理局へ出向く必要がなくなります。

入管法では、外国人側の責任で、ビザの許可条件に適合していることを立証しなければならないと規定されているため、手続は簡単ではありません。行政書士に依頼した場合には、外国人の方の希望するビザ(在留資格)を取得するために、立証資料を用意して立証責任を果たすところに行政書士の専門性が活かされます。

行政書士が積極的に立証資料を収集・作成すれば、ビザの許可率がグンと高くなります。

また、行政書士に依頼した方は、ビザの許可を受けた後も、何かビザについて困ったことがあるときには、行政書士に相談し、必要な助言を受けることができることは大きなメリットです。

行政書士ラティーフ法務事務所では、専門知識を活かして、外国人ビザに関する情報をご提供することができますので、ビザでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

結婚ビザ申請について

離婚定住者ビザ申請について

就労ビザ申請について

転職(就労資格証明書)について

家族滞在ビザ申請について

永住ビザ申請について

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日本に在留する外国人の配偶者ビザ(在留資格)の取消しについて

2017-03-03

日本に在留する外国人の配偶者ビザ(在留資格)の取消しについて

 
以前のコラム【在留資格(ビザ)の取消し制度とは?】で、入管法22条の4に、在留資格(ビザ)の取消しに関する規定があることをお伝えしました。
 
以前のコラムは、在留資格(ビザ)の取消しに関する入管法22条の4の1号~10号までの概要を紹介した内容でしたので、今回は、より具体的に、日本人の配偶者や永住者の配偶者の在留資格(ビザ)をもっている外国人の方が、その配偶者の身分を有する者としての活動を行っていない場合の在留資格(ビザ)取消の関係について記載します。
 
対象となる方は、次の2つの在留資格(ビザ)をもつ外国人の方です。
・「日本人の配偶者」の在留資格(ビザ)をもつ外国人の方
・「永住者の配偶者」の在留資格(ビザ)をもつ外国人の方
 
※ 配偶者の身分を有する外国人の方に限ります。
 
上記の在留資格(ビザ)をもつ外国人の方が、配偶者と別居した場合、配偶者と離婚をした場合、配偶者が死亡した場合、日本を長期間出国しているなど、配偶者としての身分を有する者としての活動を継続して6ヶ月以上行わないで在留している場合には、在留資格(ビザ)が取り消される場合があります。
 
ただし、その配偶者としての身分を有する者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合でも、その活動を行わないで在留していることについて「正当な理由」があるときは、在留資格(ビザ)の取消しの対象とはならないことがあります。
 
「正当な理由」があるかどうかについては、個別の事案ごとに判断するしかありませんが、以下のような入国管理局が挙げている事由があり、配偶者としての身分を有する者としての活動を行わないで在留していることについて「正当な理由」があると認められるときは、在留資格(ビザ)の取消しの対象とはならない場合があります。
 

<「正当な理由」があるかどうかについて、入国管理局のHPが挙げている事由>

 
①配偶者からの暴力(いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンス))を理由として、一時的に避難又は保護を必要としている場合。
 
②子供の養育等やむを得ない事情のために配偶者と別居して生活しているが生計を一にしている場合。
 
③本国の親族の傷病等の理由により、再入国許可(みなし再入国許可を含む。)による長期間の出国をしている場合。
 
④離婚調停または離婚訴訟中の場合。
 

<配偶者ビザ(在留資格)の取消しの手続における配慮の規定について>

 
入管法22条の5には、在留資格(ビザ)の取消しの手続における配慮の規定があります。
 
この規定は、配偶者としての身分を有する者としての活動を継続して6ヶ月以上行わないで在留していることを理由に在留資格(ビザ)の取消しをしようとする場合には、在留資格(ビザ)の変更の申請、永住許可の申請の機会を与えるよう配慮しなければならないとするものです。
 
 

【まとめ】

 
「日本人の配偶者」、「永住者の配偶者」の在留資格(ビザ)を有する外国人の方で、その配偶者としての身分を有する者としての活動を継続して6ヶ月以上行わないで在留している場合には、「正当な理由」があるときを除いて、在留資格(ビザ)が取り消される場合があります。
 
ただし、その取消しにあたっては、在留資格(ビザ)の変更の申請、永住許可の申請の機会を与えるよう配慮しなければならないとされています。
 
「日本人の配偶者」の在留資格(ビザ)をもつ外国人が日本人である配偶者と離婚をした場合、「定住者」の在留資格(ビザ)に変更できる場合があります。
 
ご興味がある方は、 【日本人と離婚をした外国人のビザ(在留資格)について】も合わせてご覧になってください。
 
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日本で就労する外国人の会社退職と在留資格(ビザ)取消の関係

2017-02-09

日本で就労する外国人の会社退職と在留資格(ビザ)取消の関係について

以前のコラム【在留資格(ビザ)の取消し制度とは?】で、入管法22条の4に、在留資格(ビザ)の取消しに関する規定があることをお伝えしました。
 
以前のコラムは、在留資格(ビザ)の取消しに関する入管法22条の4の1号~10号までの概要を紹介した内容でした。
 
今回は、より具体的に、日本で就労することができる「技術・人文知識・国際業務」や「技能」の在留資格(ビザ)を有している外国人の方が、会社を退職した場合の在留資格(ビザ)取消の関係について記載します。
 
☑「技術 人文知識 国際業務」の在留資格(ビザ)の外国人の方が会社を退職した場合
☑「技能」の在留資格(ビザ)の外国人の方が会社を退職した場合
 
上記のような外国人の方が、勤務先である会社を退職して、その在留資格(ビザ)に対応する活動を継続して3ヶ月以上行わないで在留している場合には、在留資格(ビザ)を取り消される場合があります。
 
ただし、その在留資格(ビザ)に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合でも、その活動を行わないで在留していることについて「正当な理由」があるときは、在留資格(ビザ)の取消しの対象とはならないことがあります。
 
上記のようなケースにおいて、「正当な理由」があるかどうかについては、個別の事案ごとに判断するしかありませんが、勤務先を退職した後、次の就職先を探すためにハローワークに登録し、会社訪問をするなど具体的な就職活動を行っていると認められる場合であれば、「正当な理由」があるものとして在留資格(ビザ)の取消しの対象とはならない場合があります。
 

【まとめ】

「技術 人文知識 国際業務」や「技能」の在留資格(ビザ)の外国人の方が会社を退職した場合、在留資格(ビザ)に対応する活動を継続して3ヶ月以上行わないで在留しているときには、その在留資格(ビザ)が取り消される対象となりますが、引き続き、日本で就労することを希望し、具体的な就職活動を行っていると認められる場合であれば、「正当な理由」があるものとして在留資格(ビザ)の取消しの対象とはならない場合があるということです。
 
なお、在留資格を取り消された外国人は、出国するための期間(30日を超えない範囲内)が指定され、その期間内に任意に出国することになりますが、この期間内に、出国しなければ、強制退去事由に該当することになります。(第24条2号の3)
 
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外国人を雇用する事業主は、偽変造された在留カードに注意!

2017-02-06

外国人を雇用する事業主は、偽変造された在留カードに注意!

以前、コラムで、外国人を雇用しようとする事業主は、外国人の所持する在留カード等を確認する必要がある点をお伝えしました。
 
以前のコラム 【外国人を雇用する事業主は、不法就労助長罪に注意!】
 
前回の内容を要約すると、外国人を雇用しようとする事業主が、外国人の所持する在留カードを確認していない等の過失があり、外国人に不法就労活動をさせた場合には、入管法違反で処罰される可能性があるという内容です。
 
外国人を採用する場合、事業主は、まず、外国人が所持する在留カードで、外国人の有する在留資格(ビザ)の種類や、日本に在留することができる期間等を確認するのですが、そもそも、外国人の所持していた在留カードが偽変造されたものである場合には対応が困難です。
 
外国人を雇用する事業主は、外国人に不法就労活動をさせた場合、入管法違反で処罰される可能性があることを考えると、偽変造された在留カードは迷惑な存在です。また、雇用主自身が外国人である場合、不法就労助長行為は退去強制事由にも当たりますので注意が必要です。
 
そこで、今回は、偽変造された在留カードの対応方法についてお伝えします。
 
「在留カード等番号失効情報照会」をご存知でしょうか?
 
外国人を雇用しようとした際など、その外国人が偽変造や他人名義が疑われる在留カードを所持していた場合に、その在留カードの有効性を簡単に確認する方法として、「在留カード等番号失効情報照会」というものがあります。これは、在留カードの番号と交付年月日を入力すると、入力された在留カード番号の有効性を確認することができるものです。
 
法務省入国管理局のホームページからリンクを経由して、在留カード等番号失効情報照会の画面を参照することができます。
 
また、直接、Yahoo! Googleで「在留カード等番号失効情報照会」と検索しても表示されます。
 
その他に、「在留カード等の券面に施された偽変造防止対策のポイント」として、以下の事項が在留カード等番号失効情報照会の画面上に写真付きで紹介されていますので、知識として知っておかれると役に立つでしょう。
 
・在留カードを見る角度を90°変えると、文字の白黒が反転する銀色のホログラム。
・在留カードを左右に傾けると、「MOJ」のホログラムが3D的に左右に動く。
・在留カードを上下に傾けると、カードの左端部分がピンク色に変化する。
・在留カードを傾けると、「MOJ」の文字の周囲の絵柄がピンクからグリーンに変化する。
 
 

外国人を雇用しようとする事業主の方にかかわらず、外国人の所持する在留カードの有効性を確認する必要のある方は、是非、法務省入国管理局の「在留カード等番号失効情報照会」と「在留カード等の券面に施された偽変造防止対策のポイント」を活用することをオススメします。

 
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日本で就労する外国人の中途採用と就労資格証明書の活用

2017-01-05

日本で就労する外国人の中途採用と就労資格証明書の活用

今回は、日本で就労できる在留資格(ビザ)を有する外国人を、事業主が中途採用する場合の就労資格証明書の活用方法について記載します。
 
外国人を中途採用する際に、事業主が気をつけなければならないことは、中途採用をする外国人が有している在留資格(ビザ)は、前職の会社で専門的な職務に従事するためとして許可を受けたものですから、中途採用後に従事させる業務を、外国人が入管法上適法に行うことができるのか確認しなければならないことです。
 
このような場合、「就労資格証明書」を活用することが考えられます。
 
就労資格証明書は、入管法19条の2に、「外国人が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を証明する文書」と規定されています。
 
外国人の住居地を管轄する地方入国管理官署に「就労資格証明書の交付申請」を行うことによって、採用後に従事させる業務が、その外国人の在留資格(ビザ)で行うことのできる活動に該当するのか確認することができます。
 
つまり、就労資格証明書の交付を受ければ、外国人が中途採用後に従事する業務が入管法上適法に就労できることが証明されます。
 
外国人が転職した場合の就労資格証明書の交付申請は、法的な義務ではありませんが、就労資格証明書の交付を受ければ、外国人は安心して就労できますし、事業主も安心して外国人を就労させることができますから、外国人を中途採用されるケースにおいては、就労資格証明書の活用をお勧めします。
 
※上記の内容は、転職後の職種が転職前の会社等で従事した職種と大きく変わらない場合を想定しています。
 
【参考 入管法第19条の2 就労資格証明書】
法務大臣は、本邦に在留する外国人から申請があつたときは、法務省令で定めるところにより、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を証明する文書を交付することができる。
2 何人も、外国人を雇用する等に際し、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動が明らかな場合に、当該外国人が前項の文書を提示し又は提出しないことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
 
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外国人を雇用する事業主は、不法就労助長罪に注意!

2016-12-19

外国人を雇用する事業主は、不法就労助長罪に注意!

外国人を雇用する事業主の方々は、入管法違反に気をつけてください。
 
外国人の不法就労は法律で禁止されていて、不法就労をした外国人だけではなく、不法就労させた事業主も処罰の対象になりますので、注意が必要です。
 
罰則は、入管法の73条の2に規定があり、外国人に不法就労活動をさせた事業主は、3年以下の懲役、300万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
 
さらに、外国人を雇用しようとする際に、外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰されます。(入管法第73条の2)
 
外国人の方が、不法就労となるのは、次の場合です。
 
☑オーバーステイ(不法滞在者)の外国人が就労するケース
☑就労できる許可を受けていないケース
☑就労できる許可を受けているが、その範囲を超えているケース
 
では、外国人を採用する場合、事業主は、どのような点に気をつければいいのでしょうか?
 
外国人を採用する場合、事業主は、次の3つの点を確認する必要があります。
 
 在留資格カードの在留資格(ビザ)の種類、在留期間の確認
在留カードの表面に就労の可否と在留期間が記載されているので、まず、外国人が就労できる在留資格(ビザ)の許可を受けて   いるのかを確認し、次に、日本に在留することができる期間(オーバーステイでないこと)を確認してください。
 
 パスポート(旅券)の確認
 
 資格外活動許可の有無の確認
在留カードの表面に「就労の不可」と記載があっても、在留カードの裏面の「資格外活動許可」の欄に【「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」】や【「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」】の記載がある場合には、就労時間や就労場所に制限がありますが、就労することができます。
 
 
【参考 入管法条文】
第73条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一   事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二   外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三   業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあっせんした者
2   前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
一   当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。
二   当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり第19条第2項の許可を受けていないこと。
三   当該外国人が第70条第一項第一号から第三号の二まで、第五号、第七号から第七号の三まで又は第八号の二から第八号の四までに掲げる者であること。
 
第19条2項
2   法務大臣は、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者から、法務省令で定める手続により、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。この場合において、法務大臣は、当該許可に必要な条件を付することができる。
 
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