頭を悩ます遺言書の保管方法、その留意点は!?

2015-12-02

頭を悩ます遺言書の保管方法、その留意点は!?

遺言書を作成した後に気をつけなければならないのは、遺言書の保管です。

その保管方法が適切でなければ、遺言書が偽造・変造、破棄・隠匿されてしまいます。

ですが、遺言書を厳重に保管しすぎると、相続人が遺言書を発見することができず、
遺言がないものとして、法定相続されることになってしまいます。

このように、遺言書が簡単に見つかってもダメ、厳重にしすぎて見つからないのもダメですから、保管方法に頭を悩ますことになります。

 
では、遺言書を安全に保管するためには、どのような点に気をつければいいのでしょうか?

 
具体的に公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合に分けて、
以下、保管方法について記載します。

 
【公正証書遺言の保管方法】

公正証書遺言は、最も安全に保管される遺言だといえます。

通常、公正証書遺言は原本、正本、謄本の3つが作成され、そのうち原本が公証役場で
保管されますので、原本が変造されることはほとんどありません。
そのため、遺言の種類の中では、最も安全に保管されるといえます。

 それでは、具体的な保管方法についてですが、
公正証書遺言を作成し遺言執行者の指定がある場合であれば、
原本は公証役場、正本は遺言執行者、謄本は遺言者が保管することが一般的です。

また、公正証書遺言を作成し遺言執行者の指定がない場合であれば、
原本は公証役場、正本は遺言者、謄本は相続人の1人が保管することが一般的です。

 公正証書遺言の方法によって遺言書を作成すれば、原本が公証役場に保管されるため、
遺言書の内容を変造することはできませんし、遺言書が隠匿されることもほとんどないといえますから、やはり、公正証書遺言は、最も安全に保管される遺言だといえます。

 
【自筆証書遺言の保管方法】

自筆証書遺言については、遺言書の保管方法を遺言者が自由に決定できます。

自筆証書遺言は、保管方法が適切でなければ、遺言書が偽造・変造、破棄・隠匿される可能性が高いですから、保管には十分気をつける必要があります。

それでは、具体的な保管方法についてですが、
自筆証書遺言を遺言者自身が保管する場合は、自宅の金庫などに保管をするケースが多いですが、その場合には、遺言書の保管された金庫が相続人等に開けられないようにしたうえで、
遺言の存在を相続人等へ知らせておくことが必要です。
そのようにしておかないと、遺言者の死後、遺言書の発見が遅れたり、発見されないという事態が起こってしまうからです。

また、仮に遺言書が相続人等に発見された場合であっても、遺言書を封筒に入れて、遺言書に押した印で封印した上で、封筒に遺言書が封入されていることと、家庭裁判所以外で開封すると過料に処されることを記載しておく等の対策をするべきです。

 その他に、自筆証書遺言を遺言者以外の第三者に保管をお願いする場合もあるでしょう。

そのような場合であれば、利害関係がなく、なおかつ、公平な立場にある第三者を選んで、保管を依頼するべきです。

また、その場合でも、遺言者が死亡したことをその保管者に確実に知らせることができるように事前に対策をしておく必要があります。そうでなければ、遺言書を保管する第三者が遺言書を相続人へ渡す機会が失われてしまうからです。

 
【秘密証書遺言の保管方法】

秘密証書遺言は、公証役場で公証人が作成に関与しますが、公正証書遺言とは違い、
遺言書は公証役場で保管されません。
そのため、秘密証書遺言の保管については、自筆証書遺言と同じ点に気をつけて、
保管方法を検討する必要があります。

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